山国町の郷土料理1
【煮ぐい】
【材料】4人分
干し筍………1切れ
干椎茸………7g
里芋…………4コ
人参…………1/4本
ごぼう………1/2本
こんにゃく…1/4コ
鶏肉(親)…100g
【調味料】
油……………10ml
砂糖…………20g
濃口醤油……12ml
薄口醤油……12ml
料理酒………9ml
生姜…………1切れ
【作り方】
➊干し筍は前日から水に漬けておく。干椎茸はさっと洗
い、水に漬ける。椎茸の戻し汁は出汁として使う。
➋こんにゃくの処理。鍋で湯を沸かし、10分ほど湯通し。
指でちぎるなど表面積を大きくし味がよくつくようにする。
➌野菜を同じような大きさになるように切る。(火の通りが均
一になる)里芋は、塩もみし、水ですすぎぬめりを取る。
➍鍋に油をひき、火の通りにくい鶏肉とごぼうを先に炒める。
油が回る程度に炒め、水を1L加え、そのまま強火で20
分程煮る。
➎椎茸、こんにゃく、筍の煮崩れしないものを先に
入れ、さらに15分程煮る。
➏里芋、人参を入れ、水分の様子を見ながら水を
約2L加える。
➐5分程煮たら、具材が煮えてしまう前に濃口、薄口醤油、砂糖で味付けをする。
➑20~30分ほど煮たら、味を染み込ませるため一度火
を止める。
➒再度火にかけ、料理酒などで味を調える。生姜を鍋の
中の具材の上に乗せるように置く。こうすることで生姜の
香りが逃げない。再びたぎれば、完成。
豆知識
・里芋を入れると、とろみがついて美味しいが、ぬめりを取らずに入れてしまうと、とろとろし過ぎてしまう。
・サヤエンドウを別に茹でて盛る事で、色が全て揃い見た目にも美味しい。
・筍が旬な時は生筍を使う。
今回使用した菓子椀(かしわん)。
本塗の器はお祝い事に使う。
使う頻度がそんなに高くない時でも年に一度は出して
お湯に通し、水気を綺麗にふき取り、大切にしまう。
ごぼうの皮は包丁の峯などでゴリゴリと削るようにして取り除く。
但し、削りすぎると香りも減ってしまうので注意。切った後は水にさらしアクを抜く。
料理にまつわる山国話
昔の家では卵を採るために各家々で鶏を飼っていた。煮ぐいはお客ごとやお祝いなどの特別な日に食べるごちそうで、
鶏の中でも卵をあまり産まなくなった親鳥を自分たちの手で捌いて食べていた。
親鳥は若鳥に比べて身が硬いが、その分、味が濃く料理がおいしくなる。捌いた親鳥は骨付きのぶつ切りで、
身が骨離れするまで煮込んでから料理をしていたそう。骨と肉から旨みがたくさん出ていたことを想像するとお腹が空いてくる。
また、家庭によっては、内臓も含め、ぶつ切りにした鳥を丸ごと1匹分を鍋で煮て食べていた。
名前の由来は「煮て食う」と思いつくが、2回目に温めて食べると味が染みてより美味しいという「2度食う」が元になっているという説もある。地域によっては「にごみ」とも「がめ煮」とも呼ばれており、呼び名も色々ある。
がめ煮については筑前の地域の料理にもあるように山国町に昔から伝わるものではなく、
お嫁さんなどで来た方により呼ばれ続けているものと思われる。
お隣の耶馬溪町の煮ぐいでは、汁気が多く豆腐なども入っており、
汁の少ない山国町のものとは同じ名前でも地域で違いがあるようだ。
おまけ知識
● もみじ ●
鶏の足を煮ぐいと同じように味を付けたもの。集まりなどでは、一番上座の人が食べるものだったり、
子供のおやつだったり家庭によって色々だった。
● 里芋が無い季節には
じゃがいもを使う。これも美味しい。